スカイ×ブルー




マンションを出ると、いつもの大きな黒いベンツとは違う紫色のマセラティに寄り掛かっている輝の姿。

車に少しだけ詳しいのもずっと族に入っていたお陰。

こんな事ばかり覚えている自分に失笑した。


「38秒の遅刻」


「ハァ? 何その秒単位!」

駆け寄った瞬間、思いがけない言葉を言われ驚いた。


「冗談。 行くぞ」


珍しくマセラティの扉を開け、あたしを車に乗らせてくれる輝の優しさについ心が弾む。


運転手はもちろん聖治さんで。


いつもは葵たちが乗って賑やかだったから、一回り車内が小さくなったからか、妙に落ち着かなかった。


「何・・・・その冗談」


睨んでやると、一瞬目を合わせ窓の方に顔をやる輝の緩くなった唇の動きをあたしは見逃さなかった。


最近輝の雰囲気が優しくなっている。
すっごいトゲトゲしかった出会ったばかりの時とは違い。



みんな変わっていってるんだね。







・・・あたしは?




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