スカイ×ブルー
「はい」
そう言って葵くんが出してくれたミルクティー。
あたしが大好きな飲み物の一つ。
アールグレイのほのかな香りが漂うカップを持ち上げ口に運んだ。
誰かのポケットから携帯の着信らしきものがなる。
「あっ悪い、俺」
そう言って、葵は携帯を耳にかけ外に出て行った。 葵に電話が来るなんて珍しい。
っていうより、葵はいつもマナーモードにしているのだろう。 多分、あたしに気を遣って・・・。
申し訳ない気持ちが湧いたけれど、マナーモードにしているという確かな証拠がない。 それであたしの勘違いだったら恥ずかしすぎる。
紅茶を飲みながら、葵が消えた扉の方を見つめた。
もし、本当にマナーモードにしていたら今の電話は大切な人からだろう。 連絡が来るのを知っていてマナーモードにしていなかったのだろう。
家族?
友達?
それとも・・・
恋人?
淡い不安が荒波のように押し寄せた。