スカイ×ブルー
部屋を出て階段を降りる。バイクをいじってた人たちが一斉にこちらを見て挨拶してくれた。 しっかり返すがこのこそばゆいやり取りはまだ慣れない。
「輝!」
久しぶりに大声を出した気がする。 そう思うと少し恥ずかしかった。
「なんだよ」
空を見上げていた視線があたしに向いた瞬間、少しだけその鋭い瞳にドキッとした。
「あたし、小中リレー選だったんだよ」
輝の隣に立ち空を見上げた。 雲一つない晴天とは言い難い空に気分が少し落ちた。
「捕まえてみろよ」
時間差で伝わったあたしの言葉への返事をすると輝は走って裏の広場に向かった。
この広場も“豹牙”の敷地。広いなぁと改めて驚く。
体力には結構自信があったけれど輝、速過ぎ!!
久しぶりに走るブランクがあったと言っても、あっという間に息が上がる。 酸素を欲する体に気持ちがついていかない。
もっと走れるのに! と思っても体は拒否をする。
余裕ぶっこいて笑みを浮かべる輝に、怒りを覚える。
絶対捕まえる!!
そう言い、輝を追い掛け回した。