スカイ×ブルー
何分ぐらい経っただろう。
今そう考えているのが夢なのか現実なのかも曖昧だった。
でもしっかり隼人の腰に手を回している感触はある。 現実だ。
でも睡魔はすぐあたしを襲った。
「えぇーー!?」
走行中の音以上の大きさのエンジン音がヘルメットを伝い響き渡る。 そして再び上がったスピードにシールドを開け突っ込む。
「起きんのおせーよ!! いーからしっかり捕まっとけ!!!」
いつものチャラチャラしている隼人の面影が声から伝わらない。
いつもより低く威圧感漂う隼人の声にギャップを感じ少し驚いた。
風が隼人をよけ顔の半分上に当たり目を細めた。
シールドを閉め後ろを振り向いた。
紫色や黄色、赤のカラフルなバイクに乗り、ヘルメットを被っていたりサングラスやマスクをしている奴らが5人。
「どこの!?」
猛スピードで急カーブしたり細い路地裏に入って行く隼人。 結構田舎だから高い建物が少なく、巻くのが結構大変だ。
集中しているからか聞こえていないのか隼人から返事はなかった。
見れば後ろの奴らが族や組関係だと分かる。 しかし顔が隠れて誰か分からないチームの目印になっているものない。
もしかして龍神?
嫌な予感が頭をよぎる。
龍神があたしを捜しているなんて信じられないけれど、真哉が言っていたのだから確実だ。
しかし隼人の運転テクは数十分しか乗っていないけれど、今まで見てきた人の中でも上位に入るぐらい上手い。
猛スピードを出している隼人に追いつける程のテクニックを持った人が龍神にいただろうか?
でも、もし龍神だったら・・・
隼人をこんな状況にさせてしまったのが申し訳ない。
ヘルメットを間に隼人の背中に再びおでこを預けた。
何もありませんように。
バイクの上ではあたしにはどうする事も出来ない。