スカイ×ブルー
「豹牙の皆に何買うか決めた?」
「全然」
百貨店に入り店頭に並んでいた服を見ながらあたしは答えた。
この間も、茜ちゃんが手を離すことはなかった。
「この時期だったらやっぱマフラーとか手袋? 帽子?
茜ちゃんは決めた?」
色々ありすぎるし、ありきたりなのしか思い浮かばない。
「・・・」
返答がないので振り向くとあたしの目をジーッと見てくる茜ちゃん。 気恥ずかしくなり視線を逸らした。
「茜!」
その瞬間耳元に響く高い声。
「こんなに仲良くなったんだからこれからはちゃん付やめよ?
あたしは茜。 蝶愛は蝶愛!」
頬のピンク色のチークが一層茜の笑顔を引き立たせる。
「うん。 茜」
この照れくさい感じ何年ぶりだろう。
こそばゆいような心をくすぐられるようなこの感じ。
「じゃあたくさんお店回ろ! そうすればなんか引っかかるよ。 蝶愛!」
余韻に浸る間もないまま茜に腕を引っ張られた。
こんな暖かい日々が自分に訪れるなんて思ってもみなかった。