スカイ×ブルー


「蝶愛、一緒に住むか?」

ちぃ兄と暮らしていた時から何度も何度も「一緒に暮らそう?」と言った。

だけど・・・―――――
「ううん。 大丈夫だよ」


いつも返事は同じ。
両親が死んで、ただでさえ沢山迷惑かけたのに、これ以上世話になるわけにはいかない。

ゆうさんには、ゆうさんの人生があって、
あたしには、あたしの人生があるから。


「ハッハ。 そっかぁー。 何度聞いてもかわんねぇか」

そう言ってゆうさんは微笑んだ。育ちが良かったのが一目瞭然の、歯並びの綺麗な歯を見せて。

そして煙草に火を付ける。いつものジタン・カポラルに。匂い・・・強いんだよ。
寂しそうな目をするゆうさんに、申し訳ない気持ちで胸がいっぱいになる。


だけど、どうしたらゆうさんが喜んでくれるかあたしには分かんない。
一緒に住んだらゆうさんが大変なだけだ。

なのになんで寂しそうな目をするのか全然分かんない。あたしは冷たいんだろう・・・。人の気持ちが分かんない。本性なんて、もっと分かんない。



「“豹牙”って暴走族知ってるか?」

「“豹牙”? そりゃあ・・・」


二、三年前に全国トップだったチームの名前。
堅気でも知っている人は多いと思う。

ましてや、あたしは・・・。


「暴走族にまだ興味あるか?」


「ない」


「そっか」


微笑んで煙草を吹かした。
ゆうさんは椅子から立ち上がり、近づいてあたしをギュッと抱きしめた。



「えっなっ何すんの!?」

頭の中がパニックになり、体の中が熱くなる。


「恐いか?」


「いやっ、恐いとかじゃなくて・・・・・」


普通に・・・なんかおかしいでしょ!?
蹴り入れてやろうか迷った。

だけど相手がゆうさん。どうすればいいかわからない。





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