スカイ×ブルー
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「蝶愛ちゃんか・・・久しぶりに会ってみたいな」
理事長のソファに座っている貫禄のある男性。
「蝶愛は真輝さんを覚えていなんですよ」
「そうなのか?」
「両親を亡くした事で幼少期の記憶が少ないんです
」
「そりぁあそうだな・・・」
優はオフィスチェアから立ち上がりカーテンを開けた。
赤い伊達眼鏡は一際目立っている。
門野 優(カドノ ユウ)。現王城高校理事長兼1ーA担任。そんな彼に珍しい訪問者がやって来た。
「蝶愛を本当に豹牙にいれて大丈夫だったですかね」
遠くを眺める優の茶色の目は、灰色の空を反映させていた。
「“山は山を必要としないが、人は人を必要とする"
“仲間"に傷つけられた傷は“仲間"が癒やしてくれる。 輝はあんな奴だが他の奴らも見た目以上に情に厚い奴だ」
「俺は、生まれた頃から蝶愛を知っています。 それなのに俺には少しでも傷を癒す事は出来ないんでしょうか?」
「蝶愛ちゃんは気をつかっているんだよ。 今までの感謝があるから。 関係が強いほど入れない隙間がある。 仕方ないよ」
灰色の雲の隙間に見えた青色。
まるで誰かの心を表しているように。ーーーー