スカイ×ブルー


放課後になり、生徒が1人、また1人と消え教室が静まり帰る。

やっと帰路に着ける!と心弾んだHRもつかの間、帰ろうとするあたしに「どこ行くんだよ」と言う輝の言葉が耳に響いた。


だから今この瞬間、暴走族に囲まれ、ちんまりしていた。

前、他のチームにいた時に慣れたはずだけど、暴走族特有の独特の雰囲気はチームによって違う。

だから豹牙にいるのが新鮮で変な緊張が走る。


「もう大丈夫っぽいよ。 そろそろ行く?」

葵くんが窓から外を確認し言う。
やっと動き出すらしい。


「ああ」

輝の一言でみんなが立ち上がり歩き出す。



外を見たのは朝みたいな状況になっていないか確認したんだと思うけど・・・

毎日やっているの?


「朝は気にしてなかったけど、帰りは気にするんだね?」

「蝶愛がいるからだよ」


携帯をしまう隼人と目が合う。


「え?」

あたし?疑問が浮かぶ。

「俺達と堂々と一緒にいたら蝶愛ちゃん女の子に目つけられるからね。 自分で言うのもなんだけど」

葵の言葉に納得。
転校生がいきなり自分達の憧れの人と居たらいい気はしない。

女の嫉妬・・・妬心はすごい。


自分自身で経験して思い知らされた。


それに面倒な事は起こしたくない。


「じゃああたし、豹牙にいない方がよくない?」

「女も怖いけど、男もすげぇよ」

切なそうな冷たいトーマの瞳に何か心苦しくなった。トーマの言葉の意味がよく理解出来なかったけれど。


やっぱり女関係で何かあったのだろう。



暴走族には訳ありの子が多い。

闇を持った子が。


あたしは今までここ数年でたくさんの族を見てきた。

そのほとんどが問題を抱えていた。


ほとんどが笑顔の裏に闇をちらつかせていた。





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