可愛いキミの美味しい召し上がり方

美味しそうなキミの唇




「……え?えぇっ?」


一瞬の沈黙の後、もともとおっきな玲央くんの目がさらに大きく見開かれた。

おお。ここまで大きくなるものなのか。さっき読んだ少女マンガみたい。

…なんて。冷静に見つめる私に対して、


「な…何言ってるの?マコちゃん。い、いきなり…」


玲央くんは、これでもかってくらいに慌てふためいている。

微妙に後退ってるし、ね。


「…実はさ、前から思ってたんだよね。」

「へっ?」

「美味しそうだな、って。」

「…え??」


自分は“正常だ”って信じたかったから、気づかないようにしてたけど…

いつからだっけ…?
よく覚えてないけど、玲央くんを見ると、沸き上がってくるこの感情。



触りたい。

キスしたい。


いっそのこと、
食べちゃいたい――



可愛すぎる動物や赤ちゃんを見ると、ぎゅーっとしたくなるじゃない?

あんな感覚。


…いや。

さらに突っ込んで、
肉食動物が獲物に抱くような感情?


…いや、

もしかしたら、男の子が女の子に対して抱く感情と同じなのかもしれない。


とにかく――



「ちょっとだけ、味見させて?」



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