由来と山岸君
縮まった距離
「おーい、起きろ」


誰かに揺らされているのに気づく。


ふぁーー。


「あっ、はい!起きました!」


「俺の布団もとんなや。」


俺の布団…。

「えっ山岸君もベットで寝るの?」


「たりめー。」


由来は布団を半分わたした。


由来と山岸君は反対方向に向いた。


少し2人には隙間があり体は当たらないが


熱が伝わってくる。


2人で入る布団は温かいなぁぁ。


由来の心臓は山岸君に聞こえるくらい

ドキドキしている。


「起きてるか?」


山岸君は、外を向いたまま問いかけた。


「あっ、はい!起きてます」


ドキドキして寝れるわけないじゃん


「お前、何で敬語なんだよ」


え…。だって、山岸君は


上の立場でタメ口で話しにくいし…


「あっ、うーん。分かんない」


「俺さ、実は過去に…」

山岸君の声が急に低くなった。




〜〜〜〜♪〜♪


こんな時間に電話…?

もぅ、11時なのに。


「山岸君、でなくていいの?」


山岸君の表情は今まで見たことの

ないくらい、いらついていた。


「でねーよ。毎日かかってくんだよ。
悪魔から」


山岸君の、表情は深刻な顔になった。

「悪魔って…?」


私は、ベッドに座った。


「あいつなら、お前も巻き込んでもおか しくねぇ。だから、ごめん。言えねぇ」


山岸君も、ベッドに座った。


「1人で抱えてるの?それなら、言って欲し い…。少しでも山岸君の力になりたい…。」


私は、素直な気持ちを、伝えた。


「お前、何かされてもしらねーからな。」


山岸君は、話し始めた。


「俺、中学入って何回か告られたんだ
けど振ってそれから、始まった
んだよ…」


山岸君は、大きなため息をついた。


「それで、何があったの?」


由来は、抱き枕を抱いた。


「付き合わなかったら、弟に手を出すって言われてさ…。」


「っ…。それって脅迫ぢゃん。」

由来は、勢い余って立ってしまったが


山岸君に肩を押されて座らされた。


山岸君と由来の距離は体は当たらないが

とても近くなった。


「俺は、まさかなって思ってたんだがある日どこから飛んできたか分からないボールに弟が当たって怪我をして帰ってきたんだ。、その日を境に弟は学校帰りによく怪我をして帰ってきた。」


「うっうそ…」

そんなことがあったんだ…。

なんか、漫画とかドラマだけだと

思ってた。。


「それで、俺はいやいや付き合った。
付き合ってからは弟へは近寄らなくなった。んで、俺は別れを告げた。
でも、嫌だの一点張りで大変だったよ。
けど、無理やり別れた」


山岸君は、うつむいたまま話を続けた。


「別れてから、俺につきまとってさ。ストーカーしてくるんだぜ?信じられないだろ。」


山岸君は、顔をあげた。


「ひどい!」


由来は、少し大きめの声になった。


「んでさ、やばい時は俺んちの家の前にで待ち伏せしてんだよ。ほんと鳥肌が立つ」


山岸君は、身震いした。


「け…警察だよ!警察!!」


由来は、ベッドを叩きながら言った。


「いやーそれは、かわいそうだから
まぁ、そのうち諦めるだろ。」


山岸君は、笑いながら答えた。


「っていうか、その女って誰なの?」


山岸君は、困った顔をしながら言った。


「3組の大葉可奈子」


大葉可奈子って確か控えめで普通に

可愛いくて周りからの評判もいい子だよね


あんな子が、こんなことするなんて…


「あっ、もしかしてそこの本棚の写真の女の子は、大葉可奈子ちゃんなの?」

由来は、本棚から写真を取ってきた。


「見てたのか。その写真無理やり撮らされたんだ。」


山岸君は、写真を由来から取り上げゴミ箱へ捨てた。


「それにしては、笑っていたような…」


由来は、疑問そうに聞いた。


「あぁ、楽しくなさそうだったらあいつ
泣くから。それがだるくて笑ってた。」


大葉可奈子ちゃんってそんな子だったんだ


「大変だったね。お疲れ様」


由来は、優しい声で言った。


「おおぅ。てか、聞いてくれてありがとな。楽になった。でも、お前大葉に近寄るんじゃないぞ。」


「はっはい!!」

由来は、笑顔で返事をした。


それから、由来たちは寝た。



翌朝………


「んっふぅー。」



由来は、手を伸ばして背伸びをした。


あれ。山岸君がいない


由来は時間を見た。


もぅ、11時か…。


服を着替えて顔を洗って

リビングへ行った。

「山岸君、おはよう」


「おはよう。」


由来は、カーテンを開けた。


「あ…。。」


由来の動きが、止まった。


「どうした?」

山岸君が由来のとなりに来た。


「大葉さんがあそこに…」


由来は、指をさした。


その時、何か視線を感じた。


大葉さんが、こっちを見ているのだ。


「お前、危ないな」

山岸君は、カーテンを閉めて


玄関の鍵を二重に掛けた。


「ひぇーー。怖い…。私何かされるかな」


由来は、ソファーに座り丸くなった。


「多分な」


山岸君は、少し眉にシワを寄せて言った。


「学校行くのが怖い…。。」


山岸君は、携帯を投げた。


「俺のメアドと番号入れとけ。」


由来は、さりげない優しさに

ドキッとした。


「は、はい!」




1時間後由来は、山岸君ちの裏から

大葉さんに気づかれないように出た。


家まで、送ってもらって


沈黙もたくさんあったけど、由来に

とっては、忘れれない1日となった。




キーンコーンカーンコーン…。


「やっばーい。遅刻するー」


由来は、急いで階段を登る。


セーフ…。。


良かったー、間に合ったーー。



「皆おはよー!」

由来は、ドアを開けて

大きな声であいさつをした。


「………………………。」


え………?


ざわついてた空気が

急に静かになった。


そして、皆が由来を見る。


その眼差しは汚い物を見るような


皮肉で睨みつけるような目。


ど…どうして……。。


私何かしたのかな…。


由来は、考えた。


も……もしかして、大葉さん?




いや、分らない…。


由来は、戸惑いながらも席についた。


「皆、チャーッス」


同じ班の、谷沢進がはいって来た。


「何で、こんなにシーンってなって
んの?俺こぉいう空気苦手ー」


「あはははーっ。めんごめんごー」


谷沢君の友達が答えた。


教室が一気に明るくなり由来は


ほっとした。


谷沢君はカバンを席に置き

教科書をだした。


「鈴原おはよ」


谷沢君は、笑顔で言った。


「お…おぉはよー。あはっ」

由来は、いつものように振舞おうとしたら

空回りした。

「ん、おぉはよー?(笑)」


谷沢君は、爆笑した。

「もーやめてよー、そんなこといって
ないしぃー」

由来も、笑った。

「何か、今日頭でも打った?(笑)」


そお言って、谷沢君は友達の元へ行った。


誰かが、谷沢君に私のこと愚痴るのかな



由来は、マイナスへマイナスへ考えた。


キーンコーンカーンコーン……


チャイムと同時に席へ着いた。


由来は、プリント類を取ろうと


机に手を入れた瞬間

「な…なにこれ」

由来は、手にとって机から出した。


「きゃっ」


そこには、1匹のカエルとカエルの餌の


虫も入っていた。


「どうしたの?」

由来の後ろの席の川崎君が聞いた。


「机の中に入ってたの。。」



由来は、手を開けた。


その時!!


「ゲロゲロ」

カエルは鳴いて高く飛んだ。


「きゃーーー」


何人かの女子が叫んでカエルから


距離をとった。


「何でこんなところにカエルがいるのよ」


クラスの女の子は怒りながら言った。


「俺見たぜー。鈴原の手の中にいたの」


由来は、下を向いて拳を握った。



どうしてこんなこと

言われなきゃいけないの?


皆、分かってるけど言ってるんだよね。。


由来の心は鎖で縛られているくらい

苦しくなった。



「俺のナップサックの中に入ってたー」


え………?


由来は、顔を上げた。


そこには、川崎君の姿があった。


「えっ嘘でしょー」

何人かの生徒が疑問そうに問いつめた。


「嘘じゃねーよ」


いつも笑っている

川崎君の顔が、一瞬真顔になり言った。


「はい、そこまで。皆静かにー」


不満げな顔をした何人かの生徒が


いやいや前を向いた。


「っち」


その時、どこからか舌打ちが聞こえた。


苦痛の朝の会が終わり


由来は、琴乃の所へ行った。



「琴乃ー、おはよー」


由来は、前の人のイスをとって

琴乃の方に向けて座った。



「何?なにか用ですか?」


琴乃は、めんどくさそうな表情になり

由来の方に顔を上げなかった。


琴乃まで、私のこと…。


琴乃だけは、分かってくれると思ってた。


信じてた…。


「な、何でもない…。」


由来は、拳を握り涙をこらえた。


「あんたには絶望した。最低な奴ね。ホント最低」


琴乃は、机を叩くと女子が集まってる

グループへ行った。


「あーあ。誰かさん、まぢキモいんですけどー」


女子グループの、1人が由来に聞こえるよう

大きな声で言った。


「そぅだよねー。まぢ、クズ。」


次々と女の子たちが言った。




1時間目は、体育。


図書室で女子は着替える事になっている。


いつもは、隣に琴乃がいる。


けれど、今は由来ただ1人。


当たり前だと思っていた友達が


居なくなった時の孤独さと悲しみを


心から実感した。


由来は、体操服に着替えようと


ナップサックを出した。


けれど、その中には体操服はなかった。


しかし、1枚の紙が入っていた。


おそるおそる開いてみる…。



(鈴原さん、よくも優を取ったわね。

覚えときなさいよ。この最低クズ女め)


やっぱり、大葉さんなんだ…


皆に何かを言ったのも、大葉さん。


山岸君も、私のように苦しめられていると


思ったら、とても悔しくなった。



体育は、体操服がないため休んだ。



2時間目は、美術。


3ヶ月ずっと頑張ってきた作品が

後もう少しで完成する




はずだった………。


由来の席を通り過ぎた女の子が


真っ黒の水をかけた。


そして、由来の作品は地球から

ダークホールになってしまった。


由来は、山岸君に助けて…と


何回も何十回も心の中で叫んだ。


けれど、、私のせいで山岸君に


何かあったら…と思うと言えなかった。



3時間目は英語。


英語の教科書には、


(Suzuhara dai、I don't like kazuhara)


などと、たくさんの悪口が

ペンで書いてあった。


さらに、難しい問題が出たとき


鈴原さん解いてますー。などと嘘を

つかれ、散々な目にあった。


そして、3時間目が終わり休み時間では


トイレに入った由来に水をかけて


生卵をたくさんを投げた。
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