由来と山岸君
由来は、保健室で服を着替え
4時間目は授業に出なかった。
昼休み教室に戻ると由来の机はなかった。
覚悟はしていたけれど思っていたよりも
とても辛い現状だった。
由来は、我慢していた涙が溢れた。
そして、廊下を走り山岸君が居る屋上へ
向かった。
ドンドンドンドン……。
涙で前がぼやけてあまり見えない状況で
階段を必死に登る。
あと、少しで山岸君の所に…。
会いたいよ。。
山岸君…。
その瞬間……………………
「きゃー」
由来は階段を外した。
由来は下に落ちていく。
もぉ、だめだ…。
由来は目をつむった。
バタッ。どーん。
「っ。痛てぇ。」
あれ…落ちたはずなのに痛くない。
誰かの声が聞こえる……。
「おぃ、大丈夫か?」
この声…聞いたことある。
由来は目を開けた。
や…山岸君…。
山岸君は、由来の下敷きとなり覆い
かぶさっていた。
由来は、山岸君の姿を見た時
また涙が溢れた。
山岸君…、会いたかった……。
由来は、痛そうにしている山岸君に
気づいた。
すぐに、体勢を直して
立ち上がろうとした時…。
山岸君も起き上がり
由来を抱きしめた。
「ごめん…。気づいてやれなくて…。俺がお前の側に居れば、こんなことにはなってなかった。まじ、ごめん…」
由来は、首を横に振った。
「山岸君は、悪くないよ…。悪いのは私だから。私が弱いから…。しっかりしてないから。だから…山岸君は悪くない。。」
由来も山岸君を抱きしめた。
「これからは、鈴原にこんな思い絶対させないから…。何かあったら俺が守るから」
「うん…。」
山岸君は、そっと手を離した。
「待って…。あともう少しだけ…このままで居たい………」
由来は、強く強く……………
ずっと抱きしめ続けた。