どうしても、伝えなきゃいけない事があるんだ。
そう呟いた途端、背中に回されていた腕の力は弱まり、
それぞれ向き直るような体勢になった。
顔を見れば確信できる。
中学校で友達になった、桃花だ。
「ミイ、なにいってるの…アタシの名前はモエカでしょ?」
…え?
なん、で…?
はじめて話した時言ってたのに。
“私の名前は桃の花と書いて桃花っていうの、よろしくね!”
あれ…、私の名前は…、
ミイ、だっけ…?
「…っ、…、?」
「ミイ? ミイ! 落ち着いて!」
「あ、の…もえか…さん?」
「呼び捨てでいいよ…。ちょっと混乱してるだけだよ。心配しないで。」
“ちょっと電話してくるね。皆心配してたから。”
そう言って私が見えない方へ歩いていった。