夢のカケラ
こんなことを小学校の時に、クラスで仲のよかった麻里と
放課後川原の草をいじりながら話していた。
 その頃の私といったら、まだ愛だの恋だのなんて頭の片隅
にだって考えたことがなくて、外をかけまわって遊ぶことし
か考えていなかった。クラスのまわりの女のこたちは、好き
な男の子の話とか、クラスのなかで誰がかっこいいとかに夢
中になっていて、何がそんなに楽しいんだろうって思った。
 その中でも麻里は、誰よりもませた女の子で、クラスの男
子をとっかえひっかえして付き合っていた。
 そんな麻里だからこそ感じた疑問なんだろう。
 私には、愛と恋の違いなんてどうでもいいから、違いなん
て考えるくらいなら、どうやったら鉄棒がうまくなるのかと
いうことのほうが関心事であった。
 愛と恋の違いについて、十数年しか生きていない小学生二
人の経験で語れるわけもなく、結局疑問が解決されることの
ないままその話はおわった。

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