イケメン王子の花メイド
「…じゃああの、お散歩にわざわざここを選んだのって…」
「ん?」
私は少しドキドキしながら棗様の顔を伺う。
棗様は少しニッと笑って歩き出した。
「花に話してもらうって意味もあるけど、それより花のいた場所に来てみたかったというか」
えっ。
私は顔を赤くして棗様を見上げる。
パタパタと慌てて棗様に追い付くと、棗様は少し照れ臭そうに頬を掻いた。
「……俺のことはいいんだよ」
「ふふふ、ありがとうございますっ」
「……ん」
お父さんとお母さんがいなくなったのはやっぱり辛いけど、
二人の分、私は幸せになろうと思う。
これからの思い出を、天国の二人に届けれたらいいと思う。
棗様、ありがとうございます。