イケメン王子の花メイド
「まあまだついていけないとは思うが、ゆっくりと慣れていけばいい。これからよろしくね」
ニッコリと優しく微笑んでくれる社長に、また私は安心した。
「……はい!」
滝沢社長がいるこの屋敷なら、私でも上手くやっていけるかもしれない。
…頑張ろう!
「よしじゃあ、改めてこの屋敷のメイドとして自己紹介をしてくれないか」
じ、自己紹介ですか…!
でも、メイドとしてけじめをつけるためにはいいかもしれない。
「…はい!
沢田花と申します!今日から、よろしくお願い致します!」
「…へぇ、新人か」
突然背後からした声に、私は深く下げていた頭をがばっと上げた。
「おや棗。そんな格好でどうしたんだい?」
そこにいた青年は、正しくも先程の半裸の人だった。
こ、この人が社長の息子の…!
「このメイドに頼んだんだって、それ」
チラッと私の手元を見る彼。
……よく見るとすごく整った顔立ちだ。
はっ、じゃなくて!
私は自分の手に持っている彼のシャツを見た。
〝それ〟って……!
そうか、私が彼に頼まれた着替えを持っていかなかったからか!
そうは言っても私まだなんにも分かんないんだもん!