イケメン王子の花メイド
「…そうなのか…綾小路が…」
まじかよと言わんばかりに悩むそのお姿を見て、私はなんだか複雑な気持ちになりました。
言わなければ良かったかも…。
「じゃあ、花は誰か好きな男はいるのか?」
「へ?」
な、なんというタイミングでこの質問っ!
私はあまりに突然だった振りに戸惑いつつも、目を泳がせて言葉を濁らせた。
「…い、いないと言えば…嘘になります…」
すると棗様はハア!?というように顔をしかめ、私の顔をまじまじと見つめてきた。
「ほ、本気か!?」
「……はい」
「誰だ」
「そ、そこまでは……」
「命令だ」
「いや、えっ、無理ですよ!」
チッと舌打ちをした棗様は、ゴロンとベッドに寝転がった。
あ、危なかったぁ…。
逆に言ってしまった方が良かったのかな…。