イケメン王子の花メイド





「…そいつはどんな奴なんだ」



え?と棗様を見ると、棗様は体を向こうに向けたままだった。


ど、どんなって…。

今目の前にいらっしゃるお方です。




「優しくて、かっこよくて…頼れる方です…」




そう恐る恐る答えると、棗様はしばらく黙っていたあと急にガバッと起き上がった。

ビクッと驚く私をじっと見つめる棗様は、眉間にシワを寄せていた。




「そいつは俺より頼れる奴なのか」


「えっ」




や、やっぱり気付いてないですよねー…。


私はちょっぴり残念な気持ちと安心した気持ちを込めて息を吐いた。




「いえ、棗様ほど頼れる方はいませんよ」


「……そ、そうか」




それでも気付いていない様子の棗様は、やっぱり鈍感なんだなぁ。


先が長そうです。





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