イケメン王子の花メイド
目を見開いて固まる茜。
しんと静まり返る客間に、二人は抱き合ったまま動かない。
そしてようやくハッとした茜は顔を真っ赤にしながら慌て出す。
「あああ有馬くん!?と、突然どうしたのぉ!?」
「……これくらいしないと伝わらない気がして」
「なんの話よぉ!」
そして有馬はゆっくり茜から離れ、真っ赤な茜を見下ろしフッと笑った。
茜はずっと頭にはてなマークを浮かべている。
「じゃあ昼食の準備するぞ」
「えっ、あの、」
「ほら棗様達帰って来たから急げ」
いつも通りの有馬は、スタスタと客間から出て行ってしまった。
ぽつんと残された茜は少し俯く。
「…あ、あれぇ…?」
まだ熱を保っている頬に手を当てて、茜は戸惑う。
な、なんでこんなにドキドキしてるのかしら…。
一人、首を傾げる。
有馬のこの行動が吉と出るか凶と出るのか。
いろんな恋が加速し出す。