イケメン王子の花メイド
そうしてまたケーキを作り直すことにした私達は、せっせとケーキ作りに取り掛かった。
茜さんは何度か失敗しそうになりつつも、一生懸命私のアドバイスを聞いてケーキを作っていく。
そんな姿がとても愛くるしく思えるのは、きっと有馬さんなら同意してくれるに違いない。
「――で、出来たぁ!」
今度はしっかり温度設定をして、ようやく私達はシフォンケーキを作り終えることができた。
甘く香ばしい香りが調理場に漂う。
「上手く作れましたね!茜さん!」
「うぅ~、ほんとにありがとお花ちゃぁん!」
泣きそうに目を潤めて言う茜さんを見て、私は満面の笑みを浮かべた。
「それじゃあケーキをそれぞれ切り分けて包装しましょう」
せっかく作ったんだし、棗様にも差し上げましょう。
ふと、包装している茜さんの様子がなんだかおかしいことに気付いた。