イケメン王子の花メイド
「おい」
と、聞き覚えのある低音が背後から聞こえた。
私と茜さんは同時に振り返る。
「新人連れて何をしてるんだ?」
そこにはちゃんと上を着た棗様が立っていた。
「ええと、お屋敷の中を案内しておりましたの」
「そうか。…なあ、ちょっとこいつ借りていいか?」
突然そう言った棗様は、私の腕を掴んでグイッと引き寄せた。
…!?!?
「えっ、あの」
「…どうしたのです?」
「ちょっと気になることがある」
棗様のその言葉に、茜さんは承知したようだった。
「じゃあ花ちゃん、用が済んだらメイドルームに来てね〜」
ニコニコと可愛く手を振る茜さん。
そして私は強引に棗様に引っ張られ、棗様の部屋の中へと連れ込まれてしまった。