イケメン王子の花メイド
「棗様、それでは私はそろそろ……」
「…ん?」
棗様の邪魔にならぬよう部屋からおいとましようとしたところ、棗様はペンを握る手を止めて私を見上げた。
「…花眠いのか?」
「えっ、いえそういうわけでは…」
「ならここにいろ」
「で、でも、」
「俺が眠らないように見張っててくれ」
そう小さく笑った棗様を見て、私はなるほどと頷いた。
そしてそばにあった椅子を勉強机の近くまで持っていき、そこに腰掛ける。
棗様がうたた寝をしてしまわないように私が…!
やっと棗様のお役に立てる!
「…そんなギラギラした目で見なくてもいいだろ」
「へっ!?わわ、すみませんっ…」
あわあわと私は頭を振る。
棗様はクスリと笑ってまた勉強し始めた。
なるべく棗様のお邪魔にならないようにしないと…。
私はそう思い、ふぅと息をついた。