イケメン王子の花メイド
…ん?
いやでも待って下さい。
「しかし棗様、もうこういうことはおやめ下さい!」
「…え?」
「私は棗様の専属メイドです。棗様をお守りする義務と責任がありますっ。
……なので、自分より私なんかを優先しないで下さい…」
そう。
本来ならこんなことあっていいことではないのです。
今回は私のミスが全て悪いのですが、
棗様が私の体を気遣ってベッドを譲るなんてこと、あってはならないのですよ。
その優しさは果てしなく嬉しいのですが…。
私の言葉に棗様は「ふむ」と考える仕草をして見せた。
棗様は本当にお優しい方です。
私にはもったいないくらい。
「……花がそこまで言うなら考える。でも俺は花をそんな風に扱いたくない」
「…え?」
「俺は花を特別だと思ってる。だからこき使ったりただのメイドのようには扱えないんだ」
棗様はそう言いながら私をじっと見上げている。
ボッと私は顔を真っ赤にさせた。
と、特別…ですと…!?
ぎゅうっと心臓が締め付けられる感覚に襲われる。
な、棗様に特別だと思われているなんて…。
私はなんと幸せ者なんでしょう。
本当に本当に、大好きです棗様。
そんなお優しい棗様の専属メイドになれて、私は本当に幸せです。
今すぐにでも「好き」という言葉がポロッと出てしまいそうになるくらい好きが溢れております。
棗様に好きになってもらえるように努力すると意気込んでいましたが、もう今だけでも十分過ぎますね。
やはり私はこのままでいい気がします茜さん。
本当に今のままで幸せ過ぎますもの。