イケメン王子の花メイド
羊頭狗肉
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「かーいちょー」
昼休みになり、食堂へ向かおうとしていた棗を廊下で呼び止めたのは小塚森だった。
小塚森はニコニコと笑顔を見せながら棗に近付く。
「なんだ」
「あのさー、また滝沢の家行きたいんだけど」
「…は?なんで」
突然そんな要求をされた棗は怪訝そうな顔で小塚森を見た。
しかし小塚森はそれを全く気にした様子はなく、笑顔を絶やさない。
「うーん、今度は滝沢の書斎も行ってみたいなって」
「お前本読まないだろ」
「細かい事は気にすんなってー!神永も一緒にさ!な?」
「……まあ、別にいいが」
あまりに強引に言い寄ってくる小塚森に棗も少し後ずさりをする。
小塚森の強引さはいつもの事である。
だから棗もある程度は慣れているのだ。
「じゃあ今日の放課後にお邪魔しまっす」
「おう」
そうして小塚森と別れた棗は食堂へ再び向かい出した。