イケメン王子の花メイド
「滝沢は恵まれてるよなぁ。親父はあの滝沢財閥の社長で、お前はその息子。
……産まれた時から自分の将来が約束されてるんだもんな」
小塚森様の口調は嫌味を含むようで、
その表情はどこか悲しそうにも見える。
「その上成績も良くて人気があってなんでもこなせる。非の打ち所がない完璧な奴だよ、滝沢」
「…何が言いたい」
「……そういう何もかも上手くいってる奴見るとさ、すっげぇムカつくんだよ。
どうせ俺達のこと見下してるんだろうなぁ」
ハッと鼻で笑いながら言う小塚森様に、棗様はただただ静かに目を向けていた。
…み、見下すってそんな…。
棗様は…そんなことするような方じゃない。
それはきっと、友達であった小塚森様が良く知っているはず…なのに。