イケメン王子の花メイド
「なんだよっ…!俺だって努力してるんだよ!!」
そう怒鳴るように言った小塚森様の表情はとても辛そうに歪んでいた。
「俺の家は庶民から成り上がったんだ。ここまで来るのにどれだけ頑張ってきたか…っ」
…庶民から…?
ハッ、だからなんとなく小塚森様は棗様達とはノリとか雰囲気が違ってたの…?
「…なんだ、お前も頑張ってるんじゃねぇか」
「うるせぇな!悪いかよ!どうせ出来は悪いけどなぁ!」
「そんなことは言ってないだろ。
…ただ、俺と同じだと思っただけだ」
また小塚森様はその棗様に目を見開き、パッと咄嗟に俯いた。
隣の馨様は優しくその様子を微笑んで見守っている。
…棗様は、
すごいお方です…。
「…お、お前と同じなんて嬉しくねぇっつの!」
「そうか、それは悪かったな。
家の為に努力する者同士、俺は小塚森のことを見直したんだが」
「…なっ」
かあっと顔が赤くなった小塚森様はまた勢い良く俯いて。
棗様は馨様と目を合わせて、フハッと笑い出した。
小塚森様も小塚森様なりに、思うところはあって。
でもそれは小塚森様が今まで必死に頑張ってきたから。
何も努力せずそこにいたと思ってた棗様が、
自分と同じように必死に努力していたと小塚森様は知ったようで。
きっと、棗様と小塚森様は良い関係になれると私は思います。
それは多分、棗様も小塚森様も馨様も、お互いに思っていることでしょう。
私はグイッと涙を拭って小塚森様に微笑んだ。