イケメン王子の花メイド
*エンゼルケーキ
距離感
* * *
「——久美子、手紙が届いておるぞ」
立派な和風のお屋敷の一室にて、綾小路の父親は正座したままスッと綾小路へ封筒を差し出した。
綾小路はそれをゆっくり手に取る。
そして静かに微笑んだ。
「ありがとうございます、お父様」
「話は順調に進んでおるのか?」
「はい、もちろん。あちらの方も喜んでおられます」
耳に横髪をさらりと掛けて、綾小路は立ち上がる。
そのまま部屋を出ると、夜空には満月が美しく浮かんでいた。
……棗くん。
ちょっと予定が狂っちゃったけど、
なにもかも上手くいくから。
待っててね。