イケメン王子の花メイド
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あれから棗様と小塚森様は以前のような絡みではなく、少し小塚森様が突っかかってくるようになったようです。
でも決して仲が悪いというわけではなくて、逆に以前より仲が良くなったように見えるそう。
なんにしても、良かったです。
「おい沢田、掃除もそのくらいにしとけ」
と、不意に有馬さんから声を掛けられる。
私はハッとして顔を上げた。
「すみません!」
「もうすぐ棗様がご帰宅される。そろそろお迎えの準備をした方がいいんじゃないのか」
「あっ、そうですね!ありがとうございます!」
私はパタパタと急いで掃除の後片付けを済ます。
有馬さんは引き続き掃除をし出した。
……あ。
ピタリと私の手が止まる。
そういえば有馬さん、
茜さんとはあれから話したのかな…?
「あ、有馬さん…あの…」
「なんだ」
「…………えっと、茜さんとはお話しされましたか?」
「……」
無表情な有馬さんの顔が少し曇ったのに気付いた。
掃除の手を止めて、しばらく黙り込む。
……やっぱり、話してないのかな。
「……宮本はもう、いいんだ」
「えっ…」
「俺は宮本に期待をしないことにした」
そう言って掃除を再び始めた有馬さん。
私は呆然と立ち尽くす。
…つまりそれは、
宮本さんを諦めたってこと…?