イケメン王子の花メイド
……やっぱり、相当あの日のことがショックだったんでしょうか。
5年間も想い続けた有馬さんの気持ちが、結局茜さんには届くことがなかったなんて…
…そんな悲しいこと……。
私に、何が出来るだろうか。
「…まあ、それだけのことだ。沢田が気にすることじゃない」
「そ、それだけのことって…」
「沢田、何かとすまなかったな」
そんな
有馬さんが謝る必要なんてないです…。
誰も悪くないのに。
「……有馬さん」
「ん?」
「ここ……辞めたりしないですよね?」
有馬さんは私の言葉を聞いて、再び固まった。
私はきゅっと唇を噛む。
そして有馬さんは少し微笑んだ。
「……さあな」
そう言って有馬さんは私に悲しげな笑顔を見せる。
そして「ほら、棗様のお迎えに行け」と私の肩をポンと叩く。
私は小さく返事をして、エントランスに向かった。
……有馬さん。
私、辞めて欲しくないです。
お願いですから、そんな風に笑わないで下さい……。