イケメン王子の花メイド
ちょうどのタイミングで棗様が学校からお戻りになられ、私はパタパタと棗様の傍に近寄る。
「おかえりなさいませ、棗様」
「ただいま花」
棗様はそう言って、私の下げた頭を優しくポンポンと叩いた。
その仕草にいちいち胸がきゅうっと締められる。
…私、前よりもっと棗様のこと好きになってる気が…。
そう気付いた自分が恥ずかしくなり、私はぽーっと顔を赤らめる。
「今日も小塚森がうるさかった」
ツカツカと歩きながら棗様は制服のネクタイを緩める。
「ここ最近ずっとですか?」
「ああ。まあ、あの鬱陶しいチャラチャラした絡み方はないからいいんだがな」
棗様は外したネクタイを私に手渡す。
どこか嬉しそうな棗様。
きっと、小塚森様とは良いご関係を築けているのでしょう。
「……おい花」
「へっ?な、なんでしょう…」
「なんか、元気がないように見える」
棗様の鋭い眼差しに、私はギクッと体を強張らせてしまう。
なんて勘の良さなんでしょう。