イケメン王子の花メイド
有馬くんと花ちゃんが急に遠く感じた。
何も音が聞こえなくて、ただ自分の心臓の音だけが体に響く。
私は呆然として遠い有馬くんを見つめた。
辞める……。
有馬くんがここを辞める……。
何よ、それ。
私そんなの……聞いてない。
次々と頭の中で有馬くんとの思い出が蘇る。
『どこに行きたい』
『……よろしく』
『何度も言わせるな』
『よく頑張ったな』
『宮本』
有馬くんがここを辞めちゃったら、
……もう、有馬くんが私の名前を呼んでくれることもなくなっちゃう。
怒られることも、
相談に乗ってもらうことも、
相談に乗ることも、
話をすることさえ、
きっと出来なくなる。
……嫌……。
嫌……。
嫌。
「……嫌よぉっ!!」
私は叫んだ。