イケメン王子の花メイド
「え、茜さん!?」
「…宮本?」
驚いた様子の二人に向かって私はずんずん歩いていった。
気付けば目が熱くなって、じわぁっと痛く沁みる。
有馬くんは呆然と私を見ていた。
「わ、私っ……!有馬くんが執事を辞めるなんて嫌よ!」
「……え?き、聞いてたのか?」
「嫌っ!辞めて欲しくないのぉ!」
「おい、宮本ちょっと待ってくれ…」
有馬くんの言葉はあまり聞こえてこない。
ぽろぽろと涙と言葉が溢れ出る。
「私っ……有馬くんともっと話したいもの…。有馬くんと一緒に仕事したいもの……」
「…宮本、」
「私のわがままなのは分かってるのぉ!……有馬くんにはいっぱい迷惑掛けちゃったし……でも」
「宮本」
「でも、その分これからちょっとずつでも有馬くんに恩返ししたいの……。私、有馬くんになんにも返せてないものっ」
「宮本!」
ガッと肩を掴まれて、私はやっと我に返った。
目の前では有馬くんが真剣な顔を私に向けている。