イケメン王子の花メイド




「……宮本に俺の想いが届かないのが分かって……絶望したし、いっそのこと辞めてしまいたかった。

宮本といると自分が辛いだけだと思ってな」




有馬くんは静かに続ける。




「でも、俺はこの仕事が好きだ。社長と棗様がいて、横山さんや前川さんもいる。宮本、沢田、二人もな」


「…うん」


「皆に今まで支えられてきて今の俺がいる。宮本と一緒にいて変われた俺もいる。

俺は……感謝の気持ちを忘れていた」





有馬くんはまた優しく笑う。

こんなに笑う有馬くんは、本当に初めてだわ。




「恩を仇で返すところだった。

……だから、俺はここを辞めない」




有馬くんの瞳は一点の曇りもない。




「社長や棗様に、ずっと仕えたい」





有馬くんの言葉に、花ちゃんは涙を拭っている。


あまりにも真っ直ぐな有馬くんの想い。



とても、とてもとても素敵に見える。




< 215 / 314 >

この作品をシェア

pagetop