イケメン王子の花メイド
「……宮本に俺の想いが届かないのが分かって……絶望したし、いっそのこと辞めてしまいたかった。
宮本といると自分が辛いだけだと思ってな」
有馬くんは静かに続ける。
「でも、俺はこの仕事が好きだ。社長と棗様がいて、横山さんや前川さんもいる。宮本、沢田、二人もな」
「…うん」
「皆に今まで支えられてきて今の俺がいる。宮本と一緒にいて変われた俺もいる。
俺は……感謝の気持ちを忘れていた」
有馬くんはまた優しく笑う。
こんなに笑う有馬くんは、本当に初めてだわ。
「恩を仇で返すところだった。
……だから、俺はここを辞めない」
有馬くんの瞳は一点の曇りもない。
「社長や棗様に、ずっと仕えたい」
有馬くんの言葉に、花ちゃんは涙を拭っている。
あまりにも真っ直ぐな有馬くんの想い。
とても、とてもとても素敵に見える。