イケメン王子の花メイド
「あなた新人ね」
心が見透かされそうな鋭い眼差しが向けられる。
そのなんとも言えぬ威圧感に、今にも倒れてしまいそうだ。
…いや、ここは負けちゃ駄目だ!
この方は社長の奥様、棗様のお母様。
がっかりされないように努めなきゃ!
「は、はい!新人の沢田花でございますっ。…よろしくお願い致します!」
「随分若いのね」
響子様は私をじろじろ見つめながら、前川さんをチラリと一瞥した。
「前川は若い女、採らないんじゃなかった?」
「はい。しかし沢田は見込みがあります。……それに、社長自ら雇われましたので」
「ふうん。あの人もそういうの好きね」
ま、いいわ。と響子様は私に背を向けて再びお屋敷の方へ歩き出した。
それに続いて、前川さん含め何人か執事とメイドもお屋敷へ戻っていく。
……響子様の目に、私はどんな風に映ったんだろう。
私、変じゃなかっただろうか。
…でも、
前川さんが私を褒めて下さったのはすごく嬉しい。
「響子様って……すごい方ですね」
「ね〜。今回はずっとニューヨークの方に行かれてたんですって」
「ニューヨーク!?」
前川さんが「帰国」って言ってたのはそういうことか。
……ニューヨークに何しに行かれてたのかな。
きっと、仕事だったりするんだろうけど。