イケメン王子の花メイド







――響子様がご帰宅されてからの滝沢邸はそれはもう慌ただしかった。




「18時にタツミの社長から電話あるからこの書類を分かりやすくまとめといて頂戴」

「ここの棚、白色の方がバランス良くないかしら。買い替えましょう」

「今日の夕食は佐木コーポレーションの常務と会食だから私はいいわ」

「今からあの人と話してくるから、ケースの書類整理とスーツのクリーニングお願いね」




響子様は嵐のように通り過ぎ、社長の部屋へと去っていった。


緊張の糸が解かれ、私は大きく息を吐く。

その状態なのはどうやら私だけではないようです。




「響子様の勢いが凄まじい……」


「私も最初はついていくのに必死だったわぁ〜。でも、できる女って感じでかっこよくなぁいっ?」


「……それは、確かに」




カツカツとヒール音を鳴らして歩き回る姿は、キャリアウーマン!って感じで憧れるなぁ。


……まだ全然ついていけてないけど。


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