イケメン王子の花メイド
そうこうしていると、いつの間にか棗様のお帰りの時間になった。
私は急いで棗様のお迎えにエントランスへ急ぐ。
…そういえば、棗様は響子様がご帰宅されることは知らされてたのかな。
「棗様、おかえりなさいませ!」
「ただいま花」
学校からご帰宅された棗様は周りのメイドや執事にも軽く会釈をして廊下を歩いて行く。
私も棗様から制服のジャケットを受け取って、そのままあとをついた。
ジャケットからは少しだけ棗様の香りがして、思わずキュンとしてしまう。
…て、変態か私は!
「……ん?」
ふと、棗様はピタリと立ち止まる。
そしてキョロっと辺りを見渡して。
「…屋敷の雰囲気が違う」
「へ?……どういうことですか?」
「花、誰か来たか?」
「えっ」
私を振り返った棗様は、怪訝そうな表情を浮かべている。
……だ、誰かって…。
「響子様がご帰宅されました…!棗様もお聞きしておりませんでしたか?」
「母さん…!?」
少し目を見開いて、棗様は驚いた様子を見せる。
…息子にも連絡していなかったとなると、響子様は本当に突飛な方なんだなぁ。