イケメン王子の花メイド
「早速なんだが、明日その婚約者と面談するらしい」
「は!?明日!?」
「すまんが私はその日仕事が入っているんだ。響子と二人で行ってもらっていいかい?」
「……はぁ、急すぎる…。
…………分かった」
諦めたのか、棗様は肩を落として承諾する。
私はサッと手帳を取り出して、明日の予定をそこに書き込んだ。
……もし、
もし……棗様がその婚約者を気に入ったとすれば、
本当に二人はご婚約されるんだろうか。
「……花?」
「……は、はい!?」
棗様の呼び声にハッとする。
…私ってば、棗様の前でボーッと考え事しちゃってた。
……何やってんだろ、私。
「大丈夫か?顔色が悪いぞ」
「えっ……、えと、大丈夫です!
ご心配をお掛けして、申し訳ございません」
「……」
なんだか納得のいってなさそうな表情を浮かべる棗様。
……顔に出しちゃ駄目だ。
棗様はお優しいから、心配を掛けてしまう。
私はただ、棗様の為に尽くせばいいだけなんだから。