イケメン王子の花メイド
――一通り買い物を済ませて、私達はオシャレなカフェレストランへ入った。
雰囲気が落ち着いていて、とても居心地が良い。
しかし目の前で社長が座られているこの状況。
未だにドキドキと心臓がうるさい。
「そういえば、響子にはさぞびっくりしたんじゃないかな?」
「……はい。正直、勢いに負けてしまっておりました……」
「ほっほ、やっぱりね。私とは正反対のやり方をする人だからねぇ」
ずっと穏やかな笑顔を崩さないでいて下さる社長に、段々緊張も解けてくる。
この安心感は、やっぱり社長だから感じられるものなんだろうな。
「棗はどちらかと言えば響子似かな」
「……えっ?あ、でも……確かにそうかもしれないですね……」
私も棗様と響子様が少し似ていると思ったことはある。
あの勢いと、話し方と、歩き方とか。
思えば思うほど似ているかも。
「婚約者の件も、棗はどうするんだろうねぇ」
「……」
社長の言葉を聞いて、胸がズキッと痛んだ。
……棗様は、
きっとこの婚約を前向きに考えようとなさってる。
最初こそ、響子様に反発してましたが……。
婚約者が綾小路様だと分かってから、棗様のご様子が変わったように思えて。
胸のざわざわがずっと残ってる。