イケメン王子の花メイド
――モールを後にした私達は、車に乗って社長の言う〝ある場所〟へ向かった。
車が停められ、降りてみると私は思わず「あっ」と声を上げる。
「ここは……」
「2人で来るのはあの日以来だね」
社長の言葉に振り返り、私は大きく頷いた。
〝…なら私の家で働くかい?〟
あの公園。
社長と初めて会った公園。
すごく思い出が詰まった、大切な場所。
社長のあとをついていくと、大きな池を眺められるベンチへと社長は座られた。
私も静かにその隣へ腰掛ける。
そして社長は池を眺めながら、優しい表情で話し出す。
「花ちゃんに話しておきたかったことがあるんだ」
……え、
私に?
「私もね、この公園はよく来ていたんだ。仕事で悩んだ時とか、ここに来るとすごく心が落ち着いて頭がすっきりするんだよ」
思い出を語るように、社長は懐かしそうに話を続ける。――
――そこで私はある親子を見掛けたんだ。
小さな娘さんとそのお母さん。
その親子もよく公園に来てるみたいでね。
仲睦まじいその親子を見てるととても心が癒されたよ。