イケメン王子の花メイド
*ウェディングケーキ
決心
――夕食とお風呂を済ませた棗様はお部屋に入ってドサッとベッドに倒れ込んだ。
……なんだかすごくお疲れのようですね。
「今日は親父と買い物に行ったんだってな」
「あ、はい!恐れ多いですが、たくさん服も買って頂きました」
「今度、その服来て俺と出掛けるぞ」
「……え?」
「返事は」
「は、はい!」
くすりと微笑む棗様をまじまじと見つめる。
……棗様。
それって……デートでしょうか。
いやいやいや、前もお散歩に行きましたし、これはただの付き添い!
メイドと主人としての!
今日の横山さんみたいな感じの!
「あぁー、肩がこってるな」
体を起こして肩を回し始める棗様。
私はその姿を静かに眺める。
……だって、そんなデートとかで浮かれたら駄目だもん。
棗様は綾小路様の婚約者なんですから。
……そもそも、期待なんかしても意味ない。
「棗様、もうお休みになられますか?」
「……そうだな」
「かしこまりました。では明日は7時に起こしに参りますね」
「あぁ、頼む」
棗様が使用されたフェイスタオルを回収し、私はぺこりと頭を下げる。
そしてそのまま棗様の部屋を後にした。