イケメン王子の花メイド
譲らない
翌日。
いつものように、私は棗様を起こしに部屋へ入った。
何度見ても見とれてしまうような美しい寝顔。
私はドキドキと鳴り止まない心臓を押さえつつ、棗様を起こし始めた。
「おはようございます棗様。もうじき7時になります」
「……」
小さな唸り声とともに寝返りをうつ棗様。
そのいつも通りの仕草にまでドキドキしてしまう。
……告白するって決めてから、なんだかずっとそわそわしてる。
タイミングも大事だよね……。
告白って、いつ言うのがベストなの?
「棗様っ、朝です!」
「…………ん」
もぞっと体を動かせてようやく棗様の目が開かれた。
最初と比べてほんとに早くなったなぁ。
「……おはよう、花」
「おはようございます、棗様!」
むくりと体を起こして、大きなあくびを1つ。
それから棗様はゆっくりと動き出して朝の支度を始めた。
私はその間にベッドを整える。
「今日は確か、英会話だったか」
「はい、9時から英会話のレッスンで、次は柔道です」
「……」
棗様は何も言わず、着替えを始めた。
……やっぱり、まだ何か考え込んでらっしゃる様子が窺える。
今告白するのは……違うよね。