イケメン王子の花メイド
いつまでも
「棗様、起きて下さいっ」
「……」
ゆさゆさと棗様の肩を揺すって起こそうと試みる。
棗様の眉間がぴくりと動いたのを見逃さなかった私は、揺する速度を少し早めた。
「朝です!棗様!」
「……あ?」
低い声が棗様から発せられ、ようやくその目は開かれる。
すると棗様は睨むように私を見て、少しだけ固まった。
「……棗様?起きられましたか?」
「……」
少しかがんで棗様に声を掛けると、棗様は私を見つめたままちょいちょいと手招きをした。
……え?何?
ドキドキしながらそんな棗様に少し近寄ると、棗様は私の腕を掴んだのだ。
そしてそのままぐいっと私を引き寄せて。
「……おはよ、花」
なぜか嬉しそうに微笑みながら、棗様はそう言った。
……なんという破壊力。
な、なんで引き寄せたんですか!?
なんでそんなに嬉しそうなんですか!?
……行動自体は謎だけど、
今目の前で微笑んで下さっている棗様は、私のことを好きなんだということだけで私はもう幸せいっぱいです。
なんで素敵な朝でしょう。