イケメン王子の花メイド
――棗様が学校に行かれて、私はいつも通り仕事を始めた。
棗様のお部屋の掃除から、お洋服のクリーニング。
棗様と両想いになれて、仕事をするのも前より楽しくなった気がする。
愛の力って素晴らしい。
「ほんとーに、良かったねぇ~花ちゃん!」
にこにこと可愛らしい笑顔を惜しみなく向けて下さる茜さんに、私は思わず照れてしまった。
私と棗様が婚約したことはすぐに屋敷内で報告された。
そして私がメイドとして仕事を続けることも。
皆さんびっくりするほど祝福して下さって、私はその度に泣いてしまった。
……この屋敷にいる人、皆温か過ぎるよ。
「頑張ってみて良かったね、花ちゃん!」
「……はいっ。茜さん達のおかげです!」
「うふふ、それ昨日も言ってくれてたわよ~」
「何回言っても足りません!」
「やーん、ほんとに可愛いねぇ花ちゃん」
ぎゅーっと私を抱き締める茜さんに、また私は泣きそうになった。
本当に、茜さんのおかげなんですよ。
有馬さんも、前川さんも。
皆さんのおかげで今こうして幸せになれています。
……棗様を諦めなくて、本当に良かった。