イケメン王子の花メイド




「そうそう、前川さんから聞いた?これから社交界マナーについて花ちゃんにレッスンすること!」


「えっ!?」




あ、まだ聞いてなかった~?と笑う茜さんをまじまじと見つめる。


そ、そんなレッスンをして頂けるんですか?

しかも前川さんに?




「……いいんでしょうか、こんな私が……」


「もちろんよぉ~!棗様のお嫁さんだものぉ、もっと素敵な女性にならなくちゃ~!」


「そ、そうですよね!」




茜さんの言う通りだ。

棗様ともあろう方と婚約をしたんだ。


恥をかかせないように、これからそういうことを学んでいかなくちゃ。


前川さんに後で挨拶しに行こっと。




「でもほんと、花ちゃんが来てからこのお屋敷も変わったわねぇ」


「……そうなんですか?」


「うんっ。雰囲気も明るくなって、棗様もよく笑うようになったし、私も横山さんに想いを伝えることができたし!

なんだか素敵なことばっかり起きてる気がするわぁ」



そう言って嬉しそうに笑う茜さんに、思わず見とれてしまった。


……素敵なこと。

それが本当なら、嬉しい。


こんな私でも、誰かの役に立てるなんて……。


それだけで、私は救われる。


……よし、じゃあこれからも素敵なことを起こせられるように全力を尽くします!



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