イケメン王子の花メイド
「結婚はいつにするか」
「……えっと、棗様が大学をご卒業されてからとかですか?」
「あと5年くらいかかるぞ。遠くないか」
「私はいくらでも待てます!棗様と一緒にいられるだけで幸せですから」
「……」
じーっと棗様は私を見つめる。
……な、なんでしょう。
「花」
「……はい?」
「少しの間口閉じろ」
「え……」
「キスする」
「!?」
がしっと腕が掴まれ、棗様の美しいお顔が近付いてきた。
私の顔はきっと真っ赤だ。
それはもう、唐辛子のように真っ赤っかでしょう。
身寄りのなくなった私を拾って下さった社長。
そこから私の人生が変わった。
あれは幸せな人生への転機だったんだ。
これからは皆を、棗様を幸せにしたい。
今まで幸せを感じさせてもらえた分、皆にも幸せを感じてもらいたい。
それが、今の私の全てになった。
お母さん、お父さん。
私を産んでくれて、本当にありがとう。
私は今、こんなにも幸せです。
だから安心して見守っててね。
……いつかまた会えた時には、たくさん話そう。
私が滝沢家で過ごした大切な思い出を。
‐end.‐