イケメン王子の花メイド
「…棗様」
「…すまん。無神経なことを聞いてしまった」
「……ありがとうございます」
私は棗様を笑顔で見上げる。
棗様は一瞬目を見開いて、私から少し目を逸らした。
…社長に雇われて、メイドになって…
棗様に出会えて、私は今幸せだ。
お父さんとお母さんがいなくなった辛さはずっと残るだろうけど、
その分代わりに私が幸せになろう。
そう決めた。
「…お前がよく分からん…」
「えっ」
よ、よく分からんって…それは迷惑ってこと!?
…でも、棗様の小さな微笑みに、それはないかもと安心できてしまった。
偉大である。