イケメン王子の花メイド
「…まあ親父がお前を拾った意味も少し分かった」
「へ?」
「今日は花と話せて良かった」
このお方は
どこまで私をその笑顔の釘付けにさせれば気が済むんですか。
まあ私が勝手になってるんですが!
「…わ、私もです!」
へらっと笑ってみせると、棗様はふいとまた目を逸らした。
…この目を逸らす仕草は、どこか寂しい気がします。
「…あ」
「…?どうかなさいましたか?」
「もしかして花って名前は…」
そこまで言って、私は棗様の言いたいことを把握した。
「はい。母が名付けました。花が大好きだったそうで」
〝ひまわりのようにまっすぐ生きなさい。バラのように愛のある子になりなさい〟
私は自分の名前が大好きだ。
「…いい名前だ」
ドキッと、私は頬を赤く染めた。
……今日はドキドキしっ放しです。