イケメン王子の花メイド
お菓子が基本です
——頑張るとは言ったものの、私なぞに何が出来るのか。
ていうかどのへんからどのように頑張ればいいのか、全く検討がつかない。
「何をするか」
「本でも借りようかな」
お二人はそんな会話をしながら、お二人のペースで書斎へと歩き出す。
私はそれにはついていかなかった。
ふと、棗様が私に気付いて振り返る。
「…どうした?」
私に出来ること。
……あれくらいしかない…。
「あ、えと…先に行ってて下さい。何かお茶菓子をお持ちします」
「そうか」
「ありがとうね」
納得したようで、棗様は再び馨様と並んで歩き出す。
お菓子なら、作れる。
小さい頃からお母さんと作ってたし、これならなんとか…。
私はくるりと踵を返してパタパタと調理場へと急ぐ。
成功すればいいな。
棗様に気に入って頂けたら、いいな。