イケメン王子の花メイド
「私、まだ来たばかりだわ!」
「すみません遠山副会長。俺はこれから予定がありますので」
やはりいつものお屋敷での態度とは違い、王子のように振る舞う棗様。
しかし遠山副会長は納得がいかないようで、一瞬私を睨んで腕を組んだ。
「予定とは?」
「…あまりプライベートなことは…」
「うぅ〜…ならお茶を一杯だけでもいいじゃないのっ」
「……今日はお引き取り願います」
綺麗に頭を下げる棗様に、さすがの遠山副会長も負けたのか、フンと鼻を鳴らして私達に背を向けた。
「今度埋め合わせして下さいねっ」
そう言い残して彼女はツカツカとお屋敷から出て行った。
すると隣の棗様から盛大な溜息が漏れた。