イケメン王子の花メイド
「…品がねぇ女だ」
「な、棗様っ、そのような乱暴な…」
「断られたら潔く身を引くのがお嬢様のマナーだろうが」
そ、そうなのだろうか?
いつもより口が悪い棗様をあたふたと戸惑いながら見上げる。
「…埋め合わせとかなんだよ…」
「そんなに嫌ならなぜ帰したのですっ?」
「は?」
え、と棗様を見ると、彼は眉間にしわを寄せて怪訝そうに私を見つめていた。
気に障ること言っちゃったかな…。
「花のケーキ食べる為」
まさか、である。
ドキンと大きく心臓が跳ねて、私は口をパクパクとさせた。
なんと嬉しいことでしょう。
「ほら、食べるから書斎に持って来い」
「……は、はいっ」
なんというか。
にやけがおさまりませんな。
こんなことを思うなんて私はなんて性格の悪い女だろう。
でも、遠山副会長を断って私を優先して下さったのは、恐れ多い気持ちもあるけど…それ以上に嬉しさが込み上げてきたのであります。
歓喜である。
そしてご寛恕下さい!