イケメン王子の花メイド
先程からそんな雰囲気は出していたけれど、本当に嫌いだとは…。
「そんな遠山副会長は棗のこと大好きだけどね」
「…!?」
だ、だだ大好き!?
そんな…あんな美少女がこの美少年の棗様を…!?
お似合い…ですね!?
「……ん?どうしたの花ちゃん、そんな顔して…」
馨様の言葉に、棗様も私の方を振り向く。
私は咄嗟にお二人から顔を隠すように俯いた。
どうやら心とは裏腹に私の顔はひどく晴れないものだったようで。
どうしてか、上手く笑えない。
「…え、と……なんでもないです!」
「花」
グイッと私の腕が掴まれ、強引に引き寄せられる。
顔を上げると棗様が無表情で私を見つめていた。
鈍く心臓が跳ねる。